主の昇天B年 (マコ16,15-20)

「それから、イエスは言われた。『全世界に行って、すべての造られたものに福音を宣べ伝えなさい。・・・信じる者には次のようなしるしが伴う。彼らはわたしの名によって悪霊を追い出し、新しい言葉を語る。手で蛇をつかみ、また、毒を飲んでも決して害を受けず、病人に手を置けば治る。』」マコ16,15-18

イエス・キリストはご自分の受難、十字架の死と復活によって、すべての人々をあがなってくださいましたが、世界は全然変わっていないように見えるのではないでしょうか。つまり、イエスがこの世に来られる前と同じように人々は罪を犯しているし、前と同じように苦しんでいるし、前と同じように死ぬということなのです。

イエスの使命の一つの目的について、ヘブライ人への手紙の中に次のように書いてあります。「このように、子たちは血と肉とに共にあずかっているので、イエスもまた同様に、それらをそなえておられる。それは、死の力を持つ者、すなわち悪魔を、ご自分の死によって滅ぼし、死の恐怖のために一生涯、奴隷となっていた者たちを、解き放つためである」(ヘブ2,14-15) 。

考えてみれば、以上の言葉通りに人々が自己中心に生き、罪を犯したり、愛に背いたりするのは、殆どの場合、何の希望も持たずに、死とそれに先立つ苦しみに対する恐れに支配されているからです。そのような現状に生きている私たちに、イエス・キリストはご自分の言葉と行いによって、神の愛を現し、私たち自身の罪やその結果である死を含めて、この愛を滅ぼすことのできる悪がないことを教えてくださいました。そして、ご自分の復活によって、それが事実であることを証明してくださったのです。

イエスが成し遂げてくださった救いのわざの一つの結果として、私たちは神の愛を受け入れることができるようになりました。そして、この愛を受け入れる人は、最高の幸福の源である神と結ばれて、神と神の愛を受けた多くの人々と共に、今だけではなく、永遠に生きることができるようになったのです。

イエスを信頼して、イエスの言葉がもたらす希望を抱く人は、苦しみや死に対する恐れから解放されます。この人は苦しみや死に関して怖れを感じても、もはやこの怖れによって左右されなくなりますので、自分を生かすために他人を利用したりするのではなく、イエスのように愛に根ざして、他人のために生きることができるのです。

私たちは、与えられた信仰、希望と愛に忠実に生きることによって、多くの人々がイエスの救いのわざを知るようになり、神の愛を受け入れることによって、この世界が神の国に近づくことができますように祈りましょう。

全能の神よ、
あなたは御ひとり子イエスを、
苦しみと死を通して栄光に高め、
新しい天と地を開いてくださいました。
主の昇天に、わたしたちの未来の姿が示されています。
キリストに結ばれるわたしたちをあなたのもとに導き、
ともに永遠のいのちに入らせてください。
聖霊の交わりの中で、
あなたとともに世々に生き、支配しておられる御子、
わたしたちの主イエス・キリストによって。
アーメン。